正しく見るために
既製品の老眼鏡を勧めない理由
2025.01.13
雑貨店や百円均一ショップでも見かける既製品の老眼鏡やリーディンググラス。
当店にも取り扱いの有無をお問い合わせいただくこともありますが、当店では既製品の老眼鏡は取り扱っておりません。
安価でそれなりに見えるということで、日常からこういった既製の老眼鏡で間に合わせている人も多いと思いますが、今回のコラムでは、きちんと検査して作製するリーディンググラスと既製の老眼鏡の違い、そして既製老眼鏡をお勧めしない理由について解説いたします。
『左右の度数差と乱視矯正』
既製の老眼鏡は左右の度数が同じで、乱視矯正もなく作られています。
レンズメーカーでのデータでは、左右の度数が同じで乱視のない方の比率は全体の15%といったデータもあり、ほとんどの方は左右の度数差があったり、乱視矯正を必要としています。
乱視があるのに矯正していない状態では、例えば縦の線にピントが合っている時には横の線にはピントが合ってなくて、横線にピントが合っている時には縦線にはピントが合わず、無意識に調節力を瞬時に作動させている状態になっていて、非常に疲れる原因にもなります。
『レンズの光学中心と瞳孔の位置ズレ』
基本的にメガネを作製する場合、そのお客さまの瞳孔の位置にレンズの光学中心を合わせてレンズを加工します。
レンズの光学中心で見ることが大切ということですが、既製の老眼鏡では使用する方の眼の瞳孔間距離に合わせて作製されているわけでもなく、そんなのはお構いなしですね。
瞳孔とレンズの光学中心のズレ(上の画像のような状態)は長時間の使用で疲れの原因になったり、ズレの大きさによってはプリズムが誘発される場合もあります。
一般的に既製の老眼鏡は凸レンズを使用するので、瞳孔間距離よりもレンズの光学中心間距離が広いものは、輻輳力に負荷がかかり特に注意が必要です。
『見えるといった感覚だけで度数を選ぶリスク』
オーダーして作製する場合は、基本となる眼の屈折状態(左右のバランスや乱視の有無)と調節力、目的距離を考慮して度数を決定します。
度数によって明視域(ピントの合う奥行き)が変わります。メガネを使用される際の目的距離と負荷のかからない明視域が合ってることが、快適で疲れない眼鏡作製の第一歩です。
「旅行に出かけたけどメガネを忘れて、旅行期間だけ使用する」など、やむを得ない場合を除き、日常の生活の中では、きちんと検査して作製したリーディンググラスをお使いになることをお勧めします。