正しく見るために

眼位と正しい両眼視機能検査

2026.05.17

(上)外斜視(中)外斜視かつ左上斜視(下)内斜視

 

 

 

 

今回のコラムは「眼位」について。

 

左右の眼球の向いている方向を「眼位」と言います。

 

眼位は「斜視」「斜位」「正位」に分類されます。

 

「斜視」は左右の眼の視線が1点に合わず、右眼と左眼の視線が違う場所に向かっている状態です(両眼視不能)。

 

左右の見える映像が融像しないため、モノが二つ見える「複視」が現れ、『片眼抑制』といった脳が混乱を防ぐために片方のズレた映像を無意識に消去する状態も多く見られます。

 

また、小さなお子さまは視覚の発達期にあり、この時期に斜視があると、両眼視機能が育たなかったり、弱視になったりします。

 

 

 

 

 

「斜位』は「隠れ斜視」とも呼ばれ、両目を開けた状態で左右の眼の視線が目的物に合うものの、目を閉じた瞼の奥で眼球が外を向いていれば「外斜位」、内を向いていれば「内斜位」となります。

 

 

 

 

「正位」は目を閉じた瞼の奥でも眼球がまっすぐ向いている状態ですが、ほとんどの人は多少なりとも「斜位」を持っています。

 

 

 

 

眼位ズレの大きさについて、外斜の場合は△BI(プリズムベースイン)と表し、眼前100cm離れた距離で左右の視点が片眼1.5cm(両眼3cm)のズレがあれば、3.0△BIとなります。

 

ほとんどの人は多少なりとも「斜位」を持っていると話しましたが、眼位の標準値が1.0△BI(±2.0)とされており、つまり3.0△BI(外斜)〜1.0△BO(内斜)までは標準値ということです。

 

 

 

 

「斜位」があったとして、目を開けている状態で両眼の視線が合っているのは、眼の「輻輳力(眼球を寄せる力/寄り目にする力)」と「開散力(眼球を開く力)」により、両眼の視線が合う状態を作っているからです。

 

しかし、外斜位が大きく輻輳力が弱いと、疲れやすかったり、疲れてくるとモノが二つ見える「複視」が現れる場合もあります。

 

そこで、もう一つ大切なことが、「輻輳力」や「開散力」がどれくらいあるかということです。

 

視線の角度を変えるプリズムレンズという特殊なレンズがあり、斜位に有効とされていますが、デメリットとしては、空間が歪んで見えたり、距離感が普段と違って感じられたり、レンズを通した光が虹色ににじんで見えることもあります。脳が新しい見え方に慣れるまで、気持ち悪さや頭痛、眼精疲労を感じる場合もあります。

 

一部の眼鏡店では、「斜位=プリズムレンズ」として、過剰にプリズム処方をしている店舗もあるようですが、当店では先にお話しした「輻輳力(眼球を寄せる力)」や「開散力(眼球を開く力)」がどれくらいあるかということも、両眼視機能検査の項目としてきちんと検査をして、多少の外斜位があったとしても、それを補う「輻輳力」を充分に持っていれば通常処方でプリズムレンズの処方は致しません。眼位ズレがどれだけあるかに加えて、それを補うチカラがどれだけあるかが重要であるということです。

 

 

また、眼球は「輻輳力」はそこそこ強いのですが「開散力」は弱く、左右それぞれの眼球を片方だけ下げたり上げたりは不得意です。

 

つまり「内斜位」や「上下斜位」の場合はプリズム処方の有効性が高くなります。

 

眼精疲労にはメガネの度数が目的距離に合っていて、実用調節明視域がライフスタイルに適正ということだけではなく、両眼視機能が正常かも重要となります。正しい両眼視機能検査についてもご相談ください。

 

※両眼視機能検査の結果、斜位が大きく輻輳力(開散力)が弱い場合など、両眼視を専門とする眼科医による診療や視能訓練士によるビジョントレーニングが必要と判断した場合には眼科受診をお願いしております。